「社長、うちの会社、ファンドに売りませんか?」

外資に買収されたシャープの今

昨年は鴻海(ホンハイ)によるシャープの買収劇がありました。

これまでは外資による買収というと、青い目をした外国人がやってくるイメージでしたが、今度の相手はベタベタの中国人です。

一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったシャープが中国企業の傘下に下る。まさに栄枯盛衰。

ところがここで面白いことが起きました。

年末も押し迫った時期、東芝が数千億円規模の減損を検討していると報道されたのです。

東芝の株価は以来下がり続けています。

2016年末の時価総額を比較してみましょう。

東芝:1兆1996億円
シャープ:1兆3454億円

あのとき潰れかけたシャープの時価総額が東芝を上回っています。

思えばおかしな話です。

シャープの株は紙くずにならずに済みました。底値で買った人は逆に含み益を抱えて年越しです。

会社が潰れれば失職は確実だった従業員も、会社に残って給料を受け取っています。

中国人が持ってきたお金が、巡り巡って日本人の財布に入っているのです。

外資に買収されることとは?

電流はプラス極からマイナス極に流れますが、実際には電子がマイナス極からプラス極に流れています。

外資による日本企業の買収もこれと同じようなものではないでしょうか?

確かに会社の支配権は日本から国外に移ります。

しかし、お金やノウハウ、ネットワークといった外資が持つ財産は国外から日本に流れてくる。

その結果、株価が10倍、給料が2倍にでもなれば、株主も従業員も「外資に買われて得したね〜」と言い合うようになるかもしれません。

「社長、うちの会社、ファンドに売りませんか?」

2016年の日経平均株価は、19,033円に始まり、19,114円で終わりました。

全体的に足踏みをした年と言えます。

この閉塞状態を打ち破る劇薬として、外からカネやヒトを流し込むというのはどうでしょう?

取締役は自社の株を持っているし、仮になくてもストック・オプションが付与されていることが多い。

一方従業員は、持ち株会を通じて自社の株を保有しています。

社長も一介のスタッフも、会社の株価が上がれば儲かるという点で運命共同体です。

ファンドに売って、結果株価が上がるならみんなハッピーになれます。

正月明け「社長、うちの会社、ファンドに売りませんか?」と、軽めのジャブを打ち込んでみるのも面白いかもしれません。

日本買い 外資系M&Aの真実
加藤 有治
日本経済新聞出版社
2016-10-20


 

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