工事補助金を貰った方が得なのか損なのか?



ランドロードと不動産リース契約のネゴをしていると、「工事補助金を出そうか?」と提案されることがあります。

工事補助金の英語名は様々で「Fit-out Contribution」と呼ばれたり「Tenant Allowance」とされたりすることもあります。

要は、このお金を使っておしゃれなお店を作ってよ、という建て付け。

工事補助金の会計処理

「工事代金を負担してくれるのか、ラッキー!」と、いきなり帳簿に載っている固定資産の金額をマイナスしたりしていませんか?

会計基準を持ち出すまでもなく、このやり方には無理があります。

と言うのも工事補助金の額が工事代金を上回ってしまうと、固定資産がゼロのお店ができあがってしまうからです。

テナント側の知名度が高く、ショッピングモールの客寄せに使えるのであれば、ランドロードとしては喉から手が出るほどほしい。

加えて、その国が発展途上国であればワーカーの賃金も安いので、低価格で工事をこなすことができる。

こうした場合、工事補助金と工事代金の逆転現象が起こることがあります。

利益が出るのは有り難いですが、最新鋭の什器を取り入れ、ディスプレイも凝りに凝ったお店の固定資産がゼロというのは、直感的には駄目だと分かります。

ではどうすればいいのかというと、結局見るべき会計ルールは前の記事と同じです。

ASC840-20

25-6 Lease incentives shall be recognized as reductions of rental expense by the lessee (reductions in rental revenue by the lessor) on a straight-line basis over the term of the new lease in accordance with paragraphs 840-20-25-1 through 25-2.

工事補助金もランドロードから貰えるインセンティブなので、リース期間全体でならし計算をします。

例えば、ランドロードから100万ドルの工事補助金を貰い、不動産のリース期間が10年であれば、毎年20万ドル賃料からマイナスします。

この会計処理、最初は社内でもなかなか理解してもらえませんでした。そこで、

「補助金をくれるランドロードは、必ず賃料で取り返しにきます。」
「補助金をくれるけど賃料が高い。補助金はくれないけど賃料が安い。ならし計算をしないとどっちが得か分かりませんよ。」

と説明すると「なるほど!」と納得してくれました。

工事補助金の交渉の仕方

キャッシュ・フロー的には契約期間の前半で支出が少なくなるので、全体の支払い額が同じでも工事補助金を貰った方が有利です。

ですがネゴの初めで工事補助金の話をすると賃料が下がらないので、まずは工事補助金なしでギリギリまで話を進め、ある程度煮詰まってきたところで、「補助金くれ!」と切り出すのがベストでしょう。

ランドロードも歴戦のネゴシエーターなのでそううまくはいくとは限りませんが、計算ロジックは知っておいた方がいいでしょうね。

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