潰れない会社に投資したいなら流動比率より当座比率を見よう

株式投資をしている人はファンダメンタル派よりもチャート派の方が多いみたいですね。

「それは決算書が読めないだけでは?」とか、私としては思ってしまうわけですが。

短期で値幅を取りたい人にとっては、決算書の読み込みよりもチャートを追っかけた方がいいというのは分かります。

私自身決算書を読むのは、自分の投資したお金が紙くずになってほしくないから、という意味合いが強いです。

これはチャートでは絶対に分かりません。

マーケットで売買されているような会社が早々倒産することなんかないと思われるかも知れませんが、上場企業だって飛ぶときは飛びますよ。

流動比率は会社が”飛ぶ”可能性をみるための指標

会社はどんなに資産を持っていても、どんなに有名であっても、キャッシュが詰まったら飛びます。

キャッシュに余裕があるかどうかは、バランスシートを見ます。

バランスシートは、日本語で貸借対照表、国際会計基準を適用している会社だと財政状態計算書と書かれた1ページ~2ページのシートです。

ここに「流動資産(合計)」と「流動負債(合計)」と書かれたラインがあるはず。

流動資産というのは、現金+1年以内にキャッシュに変わる資産と考えておけば、9割方正解です。

逆に流動負債は、1年以内に支払ったり返済したりしないといけない金額です。(若干お金のやり取りと関係のない負債もありますが一旦無視)

流動資産を流動負債で割った数字を「流動比率」と言います。

この流動比率が100%を超えていれば、まあ大体この会社の資金繰りは大丈夫だなと分かるわけです。

決算書の在庫には二つの意味がある

ところが長く会計監査をしていると、流動比率には一つ弱点があるな、と経験的に分かるようになってきました。

問題は流動資産(分子)側。「在庫」の存在です。

世の中には全く在庫とは無縁のサービスだけを提供している会社もありますが、ほとんどの会社は在庫商売、つまり商品や製品を売って生計を立てています。

在庫がないと明日から売る物がなく、全く売上が立ちません。在庫は当然資産です。

ところが決算書の在庫にはもう一つ、売れ残りという意味合いがあります。

あまりにもひどいものは会計士も指摘しますが、究極的には売れる在庫と売れ残りの在庫を区別することは会計士にはできません。

実際長く倉庫で眠っていた商品が、あるときポッと売れたりしますからね。

それにモノを見て売れる売れないが分かるのなら、会計士よりももっと実入りの良い会社に転職しています。

話を戻すと、流動比率にはこうした「売れ残り」も含めて計算してしまうという弱点があるのです。

売れなければキャッシュは入ってこないわけで、流動比率を使って知りたいこと(倒産する可能性があるかどうか)が分からなくなってしまいます。

当座比率は流動比率よりも厳しい指標

そこで登場するのが、「当座比率」です。

当座比率というのは、計算式はほぼ流動比率と同じです。

違うのは分子である流動資産から在庫の数字を引いて計算することです。

「在庫を全部抜いてしまうの!?」と驚かれるかも知れませんが、はい、そうです。

思い切って在庫を全部抜いて計算し、それでも財務が健全であれば、この会社はなお一層大丈夫(倒産することはない)だろうと判断できるのです。

流動比率と当座比率:ケーススタディ(ファストリと良品計画)

実際の計算を、ユニクロを運営しているファーストリテイリング(9983)で見てみます。

直近の決算期は2018年8月期ですね。

このときの決算書を見ると以下のようになっていました。

流動資産(合計):1,618,097百万円

流動負債(合計):499,410百万円

流動比率:324.0%

数字が大きすぎて目を疑いましたが、ファストリレベルの会社になると、流動資産だけで1兆円を超えているんですね。(約1.6兆円)

ご覧のとおり、流動比率は300%オーバーと、極めて健全な財政状態です。

ではここから当座比率を計算していきましょう。

棚卸資産:464,788百万円

(1,618,097 - 464,788) ÷ 499,410 = 230.9%

流動比率と比べると、かなり下がりました。

しかしそれでも200%以上の数字を維持しており、仮に倉庫の在庫が全くの売れ残りばっかりだったとしても、当面の支払いに困ることはなさそうです。

柳井さんが好き勝手やっているように見えて、会社のお金はしっかり積み立てているんですね。

ついでに無印良品を運営している良品計画(7453)も見てみましょう。

在庫が、商品・仕掛品・貯蔵品に分かれているのが面倒ですが、順に流動資産から引いていけば、計算自体はファストリのときと同じです。

計算結果のみ書きます。

流動比率:299.6%

当座比率:150.2%

流動比率は300%近くあり、ファストリと大きく違いません。

しかし、当座比率にするとだいぶ落ちます。

良品計画の方が、流動資産に占める在庫の割合が大きいようですね。

それでも100%をしっかり超えているので、それほど心配するような数字ではありません。

(そもそも良品計画は生活雑貨も取り扱っているし、決算期はファストリの8月に対し、入社・入学シーズン前の2月)

いずれにしても、この数字(当座比率)がぐーっと落ちてきたときは要注意です。

それはつまり売れ残りが積み上がっている、ということにほかなりませんから。

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