生地を見て「雑巾やな」と言った監査マネージャー

ある大阪の監査風景

監査法人に入社したての頃、一番面白かった仕事がアパレルを扱っている会社の監査でした。
 
割と大きい会社なので、監査シニア・マネージャー(シニマネ)もアサインされています。
 
シニマネは時々しか現場に来ませんが、来たときはクライアントの担当者を横に貼り付けて、好きなことを調べて帰ります。
 
その日は在庫明細のレビューをしていました。
 
「この長いの何や?」(邦訳:この在庫年齢が長い在庫は何だ?)
 
「下着を作るための生地です。」
 
「雑巾やな。」(邦訳:これだけ長い間縫製に回されないということは何か理由があるのだろう。いくら生地が新品でも使い道がなければ雑巾にでもするしかない。)
 
さすがに雑巾と聞いたときは、自分の手を止めてそちらを凝視してしまいました。
 
そんなヒアリングありか!
 
しかしこの辺りは最初にズバッと言い切らないと、クライアントにやり込められるだけの監査になってしまうんでしょうね。

在庫はいつから年を取るのか?

その会社では仕入れた日をスタートとして、在庫年齢をカウントしていくことにしていました。
 
全く同じ生地でも仕入れた日が違えば、年齢も変わってきます。
 
確かに生地であれば月日が流れると変色もあるので、この考え方は納得です。
 
ところが経年劣化が少なく息の長い商品、実際今も売れ続けているものがあったらどうしましょう?
 
仕入れた日が数ヶ月違ったところで、商品の価値にはそれほど違いがないように感じます。
 
同じ商品であれば仕入れた日に関わらず発売日から在庫年齢をカウントするという考え方もあります。
 
しかしこの商品が定番商品になり、発売から3年経っても5年経っても着実に売れ続けていれば、在庫年齢をカウントする意味がありません。

在庫評価のルール作りを経理部に任せては駄目

在庫年齢のカウントは在庫評価のルールともリンクします。
 
在庫評価は会計の世界ということで、ルール作りも経理部まかせになりがち。
 
しかし在庫年齢のカウント方法だけでも様々なパターンがあり、会社のビジネスに最もマッチしているのは何か、もっと言うと商品がどうなったときに価値を失うのかということを考える必要があります。
 
これらをジャッジできるのは経営者か、経理部の中でも経営者マインドを持った経理マンだけです。
 
「監査法人が作れというので在庫評価ルールをこしらえました」では駄目。
 
「うちの商品は一体どういう売れ方をしているのか?」「どうなったときに商品価値がなくなったと言えるのか?」ということを真剣に考えた後、初めて在庫評価ルールができあがるのです。

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