なにわパンサーズ(仮名)が固定資産の減損をしたとき
国際会計基準(IFRS)の売りは、「国が違っても同じ基準で決算書が作られる」ということです。
しかし、細かいところでは国によってバリエーションがあるのは以前の記事で触れたとおり。
とはいえ、国際会計基準とそれ以外の基準との違いに較べると「ほとんど同じ」と言っても問題はないのかもしれません。
例えば減損会計もまだまだ各国の基準に大きな違いがあります。
なにわパンサーズ(仮名)が成績不振に陥ったときの会計処理
さる在阪球団になにわパンサーズ(以下「パンサーズ」)というチームがありました。
パンサーズは万年最下位。球団経営は苦しくこのところ赤字が続いています。
現代の会計基準によると、その保有資産である鳴尾浜スタジアムも減損処理をしなければなりません。
これは国際会計基準も日本基準も同じです。
スタジアムの元の価値10億円を、一気に特別損失として処理しました。
翌年、パンサーズはそれまでと打って変わって破竹の進撃を遂げ、遂にペナントを奪取。
球団の財政は一気に潤います。
こうしたとき国際会計基準によると、10億円の特別利益を計上して、鳴尾浜スタジアムの価値を復活させます。
一方、日本基準の場合、一度損失として処理したものはそのままにしておきます。米国基準もこちらのパターン。
国際化が進んだ中国の会計制度
この点中国人はやり手です。
実は中国の会計基準によると、減損損失は日本や米国と同じ取扱いをします。
つまり一度損失として処理した場合、価値が復活することはありません。
ところが「中国の基準は国際会計基準に概ね統合が図られている」と主張。
日本人ならちょっとした違いであっても「いや、結構違いますよ。」と言ってしまうのに、中国人は「大体同じです。安心して我が国に出資してください。(ドヤッ!)」と言い切ってしまうわけです。
いや、減損の処理一つとっても10億円も違うんですけど、、、
しかし会計畑でない人が聞くと「ほんなら進出しよか」となるのかもしれません。
これくらい厚顔無恥である方がビジネスの世界では正義なんでしょうね。
実際に外資という燃料をぶっこんで、あれだけの発展を一気に成し遂げたのは中国ですから。