ニューヨークとロサンゼルスでお店を持ったら~原価計算をビジネスにどう生かすか?

トロントは只今金曜の朝。今夜のフライトでニューヨークへ向かい、週末をマンハッタンで過ごします。

ニューヨークとトロントの間の距離は東京~広島間と同じくらい。空の上の時間は1時間程度です。

一方ロサンゼルスやバンクーバーは北米大陸の西の端なので、フライトも6時間くらいかかるし、時差も3時間あります。

この距離が問題となって、現地の監査法人と揉めたことがありました。

モノの原価の考え方~日本の場合

いきなり北米の話をする前に、まずは日本のケースを考えてみたいと思います。

例えば九州の工場で製品を作り、それを全国各地で販売している会社の場合。

その工場では1個100円で製品を作れます。販売価格は1個200円。これは東京で売っても大阪で売っても同じです。つまり1個製品を売れば100円の儲け。

儲けから、製品を運ぶための物流費やお店の販売員を雇うための人件費を差っ引いて利益を出します。

これがマイナスになると赤字なので、そうならないようにシフトを見直して人件費を削減したり、販売促進の手を打ったりするわけです。
日本のやり方では儲けが正しく計算できない?

社長「この製品いくらで作れるの?」
工場長「1個100円です」

これが日本でごく当たり前に考えられてきた、「モノの原価」の捉え方です。

ところが上の例では一つおかしなことがあります。

九州から大阪、九州から東京では全然距離が違いますよね?

当然大阪の方が近いので、安く製品を運ぶことができます。

ところが販売価格は1個200円で全国共通なので、大阪で売った方が東京で売るより儲っているはずです。

ところが工場長が「1個100円です」と言う限り、その差が表沙汰になることがありません。

日本では「モノを作るまでが原価」「倉庫に入るまでが原価」という思い込みがあると言えないでしょうか?

モノの原価の考え方(北米の場合)

日本で「モノの原価は一つ」と考えられてきたのは、なんだかんだ言って日本の面積がそれほど大きくないということがあったと思います。

ところがアメリカでモノを売ろうとした場合、中国の工場からロサンゼルスにモノを運ぶのと、ニューヨークにモノを運ぶのでは、コストが全く違います!

中国から船を出すと、まず太平洋を挟んでロサンゼルスの港に着きます。

そこから陸路ニューヨークまでの距離は、東京からヴェトナムの首都ハノイまでの距離とほぼ同じです。

私は東京からハノイまで車を走らせたことはありませんが、相当なガソリン代がかかるし、運転も一人ではできないでしょう。

「陸路は駄目だ」と思って船を使ったとしても、赤道近くのパナマ運河まで下りていってから、またニューヨークに向けて北上する必要があります。

それなのに「製品は全て1個1ドルです」と言うことはできるのでしょうか?

ロサンゼルスなら1個1.25ドルで、ニューヨークなら1個1.5ドルかもしれません。

社長に、「ニューヨークのお店は儲かってるねえ。それに比べてロサンゼルスのお店は赤字続き。もう畳んだ方がいいんじゃない?」と言われたとします。

ところが東西で原価を分ければ、ロサンゼルスが黒字でニューヨークが赤字だった、ということもあり得るのです。


工場から出荷された後も原価計算は続く

日本のやり方と北米のやり方は、結局のところどちらも監査法人に受け入れられています。

場所によって原価が違うのはなんとなく納得がいったとしても、それを言い始めるとお店ごとに原価が違うということになるので、収集がつかなくなります。

結局はどこかで折り合いをつけるしかありません。

どこで折り合いをつけるかというのが原価計算の真髄。

工場で電卓を叩いて、間接費を各ラインに振り分けることだけが原価計算ではないのです。

ロサンゼルスのお店を閉鎖するかどうかが原価計算で決まるとしたら、製造業以外の業種でも真剣に原価計算のことを考えるようになると思いませんか?

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