【社長挨拶で読み解く株式投資】オリンパス
今日はオリンパスの社長挨拶を見てみたいと思います。
私は入社以来、経理、経営企画、業務改革などの本社部門、医療やライフサイエンス事業の企画に携わってきました。また、会社人生の約16年間を海外駐在員として過ごしています。
自分のキラキラのキャリアを社長挨拶で自慢している人を初めて見ました。
こんなに会社の中枢部門を渡り歩いてきたのに、粉飾決算のことは知らなかったんですかね。
16年も海外にいたので知らなかったのかもしれません。
振り返ってみると、オリンパスヨーロッパの代表者として駐在した際、欧州での経営の在り方を見てグローバル経営の目指すべき姿を描いたように思います。複数の文化・慣習・価値観を持った国の集合体である欧州のなかで最大効率を考えた経営を行うには、それぞれの国をよく知る現地の社員の意見を尊重しつつ、ヘッドクオーターが現地の状況を理解し、地域としての経営方針を立て、事業計画の達成を後押しする必要がありました。
キラキラのキャリアの続きです。いや、いつまでもひがんでないでちゃんと見ていきましょう。
この段落に社長が考えるグローバル経営の姿が書かれています。
「現地の社員の意見を尊重」と「ヘッドクォーターが現地の情報を理解」がキーワードです。
会社が考えるグローバル経営とは、現地と本社がしっかりとコミュニケーションを図りながらビジネスを行っていくことであるようですね。
そして今、いよいよグローバルかつグループ全体が一体となって経営を行う体制へと移行する時が来たのです。オリンパスは真のグローバル企業を目指し、持続的な成長をつづけるためにより強力かつ機動的な会社に生まれ変わります。そして、これからも世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現を通し、社会に貢献してまいります
ここに書かれていることを裏返せば、オリンパスではグローバル経営ができていないということになります。
持続的な成長を目標に掲げているのはグッドポイント。ただしそのためにはグローバル経営が必須というのが会社による分析。
社会への貢献方法として、世界の人々の「心の豊かさ」の実現を掲げているのは面白いと感じました。
人に「心の豊かさ」を与えるのは結構難しいと思うのですが、例えば内視鏡の技術によって体に負担をかけない医療を実現することによって、患者の生活の質(Quality of Life)を向上させられるのであれば、それは確かに「心の豊かさ」に繫がっていくように思います。
まとめ
社会貢献に対する姿勢は評価できると思います。財務面の数値も良い。研究開発にも余念がありません。
社長が掲げるグループの一体経営が実現すれば、もう一段階上のステージの会社に化けるかもしれません
まあ私は一度でも粉飾決算をした会社の株を買うことはありませんが。