海外子会社で定款を見せてくれと言われても

海外の子会社も年に1回、本社から内部統制監査を受けます。

内部統制監査は従業員不正の防止には役立つと思います。しかし、従業員不正を原因とする粉飾決算は、私はせいぜい全体の1割程度と見ています。

残り9割は言うまでもなく経営者不正。普通は経営者がプレッシャーを掛けない限り、経理部長は決算書をいじろうとはしませんよね。

内部統制監査が経営者不正に無力なのは、経営者は内部統制の上から指示を出すことができるから。しかしそんな中でも、経営者にとって一応の縛りになりそうなのが「定款(ていかん)」です。

定款にはその会社のビジネスが羅列されているので、そこに書かれている以外のことを経営者がやれば、基本的には株主にクレームされても文句は言えません。

海外子会社の定款はどうやって作られる?

海外子会社の監査でも「定款を見せてくれ」とはよく言われますが、そこは子会社ゆえの悩みもあり。

例えば香港のようにペーパーカンパニーを売ること自体がビジネスとして成り立っている国では、エージェント(弁護士事務所など)が見込みでドンドン会社を作ってしまいます。

そしてクライアントのリクエストがあれば、既に設立済みの会社を売って、即座に子会社を用意してあげるというわけです。

上場企業でも、ペーパーカンパニーを買ってきて、すぐに社名変更して子会社の体裁を整えるということはザラにあります。

余談ですが、子会社の元々の名前をチェックしてみると面白いですよ。キラキラネームとはいきませんが、結構趣味で付けたような会社名が多いです。

話を戻しますと、そうしたペーパーカンパニーは、設立時の定款でありとあらゆるビジネスができるようにしています。

極端な表現では「利益を得るための行為全て」を会社のビジネスとしていることもあれば、およそ考えられる全てのビジネスを箇条書きにしていることもあります。

そして会社名は変更しても、通常定款はそのまま使い回します。

だから子会社の社長が「お金が余っていたので利回りの良い金融商品を買いました」と言っても、それだけでは何も悪いことをしていないし、親会社の方針に逆らったわけでもないのです。

親会社「当社のビジネスに投資は含まれません」
子会社「定款には投資が明記されています」

親会社から出向で行く子会社社長は、そうそうやんちゃはしないでしょうが、これからグローバル化が進んで現地人社長が次々誕生すれば、親会社と子会社社長とできっと上のような揉め事が起こりますよ。

海外子会社の定款で改善すべきこと

内部統制監査の監査の弱点は、「定款があればOK」としてしまうことですね。英語で数ページに渡って、金融業、小売業、卸売業、物流業、マーケティング業、、、と羅列されれば、誰だって読む気をなくします。

ええ、本当に数ページあります。一度翻訳させられました。

しかし面倒でも、会社のビジネスくらいは親会社に合わせておくことをお勧めします。

そして子会社の定款変更は、親会社の取締役会で決裁を受けるようにすべきです。定款の縛りは後々効いてくるので、それぐらい手を掛けてメンテナンスする価値があるからです。

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